Title

奇跡のテーブル/会議テーブル

Date
2024-07-23

 

奇跡のテーブル/会議テーブル

1991年の発表から今日まで、TECTAの代名詞として1万軒以上の日本のご家庭で愛用されている「M21テーブル」。実は、このテーブルは、“ジャン・プルーヴ ”、“ピーター・スミッソン”、“ステファン・ヴェヴェルカ”、そしてTECTA社の“アクセ ル・ブロホイザー(*1)”社長の4名の協業によって生み出されたものなのです。

天板のデザインは、20世紀の偉大なフランス人建築家“ジャン・プルーヴェ(*2)”により描かれました。彼はアクセル・ブロホイザーに「チューブ・アプラティ(*3)」をはじ めとした、「素材」の重要さを教示した人物で、M21のレッグは、プルーヴェの自宅で使われていた暖炉の形状から、ブロホイザーがインスピレーションを得てデザ インされたものです。

さらに、イギリスのモダン建築ムーヴメントを牽引し、ブロホイザーの「デザイン思想」に大きな影響を与えた“ピーター・スミッソン (*4)”が、「Let’s Make Hole ーレッグに穴を開けようじゃないかー」と提案し、さらに、その穴は「プルーヴェがデザインした扉と同じサイズ、形状にしよう」とアイデアを出したのです。この穴の存在によって、重厚感のあるM21のデザインに軽量感をもたらし、さらに、空間に置かれた際に も空気の流動性を感じさせるとブロホイザーは語っています。

このようにして基本設計がなされたM21に最後のエッセンスを加えたのは、建築家でありアーティストとして活躍していた“ステファン・ヴェヴェルカ (*5)”です。TECTAの「B1チェア (*6) 」なども手掛けたヴェヴェルカは、デザインの「機能」を重視していた作家で、ブロホイザーにも多大な影響を与えました。M21のレッグを見たヴェヴェルカは自らのギャラリーで壁と壁の間にガラスの棚を設置したことで浮遊感と機能性を両立させていることを説き、M21のレッグにも一枚のガラス板をわたすことを提言したのです。このガラス板によってM21は機能性を獲得したと同時に他に類をみない圧倒的なデザインのテーブルとして完成を迎えました。

「素材」を重視したジャン・プルーヴェによって天板がデザインされ、プルーヴェを 敬慕するプロホイザーが、実際にプルーヴェの自宅で使われていた暖炉の形を レッグに採用。そこへ、「思想」の面でブロホイザーに多大な影響を与えたピータ ー・スミッソンによってレッグに穴が穿たれ、さらに、デザインが持つ「機能」を重視するステファン・ヴェヴェルカがガラスの棚を付加しました。最後に、これらのアイデ アをブロホイザーのエンジニアとしての知見を発揮して誕生したのが、このM21テ ーブルであり、 4人の建築家・デザイナーによって生み出された「M21テーブル」は、まさに「奇跡のテーブル」と呼ぶに相応しい逸品なのです。

                                    

M21の魔法 

四角でも丸でも、楕円でもないM21の独特なフォルムは、向かい合って座る人同士の視線を絶妙にずらすことで、心理的な圧迫感を軽減するという効果を、その美しい形状のままで実現した、世界的にも稀有なテーブルのひとつです。

こうした機能面と、デザイン性の高さから、ドイツ国内では「会議室用テーブル」としても使用されることが多く、その用途は住宅だけに留まらず、「オフィス」でも頻繁に使われています。また、左右非対称にデザインされたオーガニックなフォルムは、 どの角度から見ても美しく、まさに置く場所を選びません。

大ぶりに設えられた天板は、家族や友人たちと囲む食事のテーブルトップに数多くの料理を並べられ、さらに隠し技として、レッグに付けられたガラスの棚板に照明を仕込むことで 生まれる陰影が、空間を華やかに演出します。

その圧倒的な造形美によって、様々なシチュエーションにおいて唯一無二の存在感を放つ、ドイツ・TECTA社の名品「M21テーブル」をご覧ください。 

M21 TABLE / 1991 DESIGN. AXEL BRUCHHAUSE / JEAN PROOVE / PETER SMITHSON / STEFAN WEWERKA

*1 / Axel Bruchhauser(1943-) 

「バウハウス、最後の目撃者」と呼ばれる、ドイツのマ ニファクチャーブランド「TECTA」のオーナーであるアクセル・ブロホイザーは、第二次世界大戦後、当時の東ドイツ政府の弾圧により工場を奪われ、西ドイツのローエンフォルデへと亡命を果たします。バウハウスの精神を今日の私たちへと伝え続けている彼のことを、人は「バウハウス、最後の目撃者」と敬意を込めて、そう呼ぶのです。 

 

*2 / Jean Prove(1901-1984) 

数々の名作を生み出した、フランスを代表する建築 家。アクセル・プロホイザー氏とは十数年にわたり協業を重ねました。「素材」が何を語りかけてくるかをよ く聞くことが重要という信念を持ち、TECTA社が数多くのカンティレバーチェアを作りだすキッカケとなる「チューブ・アプラティ」の技術をもたらしました。

 

*3 / Tube Aplati(チューブ・アプラティ)

 ジャン・プルーヴェがブロホイザーに提案した構造。ス チールパイプを平らに潰すというだけのシンプルな加工により、カンティレバー構造の強度を上げることに成功しました。F40ソファなどは、この技術の開発により製造可能となったのです。 チューブ・アプラティは、TECTA社の特許技術です。

 

*4 / Alison & Peter Smithson (Alison 1922-1993 / Peter 1923-2003)

「Robin Hood Gardens」などの代表作で知られる、夫婦で活動したイギリスの建築家。 ブロホイザー氏に、デザインの思想の面で多大な影 響を与えた彼らは、ブロホイザーの住まい「ヘクソン・ハ ウス」やTECTAミュージアムの設計を手掛けました。

 

*5 / Stefan Wewerka(1928-2013) 

ドイツ人の建築家でアーティストとしても活動したステファン・ヴェヴェルカは、「日常で使うものに対して美しいデフォルメを加える」というデザイン・フィロソフィーを持ち、実際に「座れない椅子」などのように「プロダク トの本質から導き出される機能」を魅力とする名作を 数多く残しました。

 

*6 / B1 CHAIR

ステファン・ヴェヴェルカがデザインした3本脚の斬新な チェア。二つの椅子を繋ぎ合わせてデザインされたも ので、まっすぐに座るという固定概念を覆し、あらゆる 角度に向かって座るという提案がなされた革新的な椅子なのです。